Dansomanie : entretiens : Miho Fujii

 

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A Japanese ballerina in Paris

 

For Dansomanie, Miho meets Miho!

 

 

For Dansomanie, Miho met with her namesake, Miho Fujii, the first - and for the time being only - Japanese member in the history of the Paris Opera Ballet.

 

 

Miho Fujii : a Japanese ballerina in Paris

 

パリの日本人、藤井美帆さん

パリ・オペラ座バレエ団史上初めての日本人正団員の藤井美帆さんと待ち合わせたのはオペラ・ガルニエ近辺のモダンなカフェ。長身でほっそりした優雅なスタイルは注目の的。紅茶を飲みながら藤井さんは自分の夢、目標、そしてバレエへの情熱を熱く語ってくれました。


初めてのバレエ

横浜出身の藤井美帆さんがバレエに興味を持ったのは三歳の頃。しかし本格的に習い出したのは米国滞在中、アメリカン・バレエ・スクールに七歳で入った時。ニューヨーク・シティー・バレエの「コッペリア」や「くるみ割り人形」などの子役に出演し、舞台への関心が強まったとか。二年後、日本へ帰国し、東京の牧阿佐美バレエ学校へ入学。同時に大塚礼子の指導も受けていた。

初めて渡仏したのは工藤大弐の学校へ二週間研修に来た十四歳の時。帰国後、日本に招待されていたイボンヌ・グーべに注目され、三ヶ月間奨学生としてパリのグーべ・バレエ学校へ入学。
バレエを習っている多くの日本の女の子はロシアのワガノワ・バレエに憧れているが藤井美帆さんはパリ・ナンテール学校の繊細なテクニックに憧れていた。彼女にとって世界で一番良いバレエ学校はパリ・オペラ座であった。そこで学校紹介のビデオを見ながら初めてクロード・ベッシーに手紙とビデオを送り、見事5年生のクラスに進学。(パリ・オペラ座ナンテール学校は1年生から6年生まである)


ナンテールバレエ学校

沢山の試練が待ち受けている中、十五歳でパリに一人で来た藤井さん。ナンテールではバレエのレッスンはもちろんのこと、普通の授業もあります。藤井さんはフランス語を一年生の子供たちと一緒のクラスで習い始めました。言葉の境は踊る時にもハンディキャップ。何故なら先生の指示がなかなか分からないから。当時ローザンヌ・コンクールで入賞し、パリ・オペラ座に研修で来ていた日本人二人と仲良くなったが、他のフランス人の生徒とはコミュニケーションがどうしても取りにくい。

しかし両親と離れ遠いフランスに来て、どんなに辛くてもバレエへの情熱、パリ・オペラ座への憧れだけは忘れなかった。もちろん迷いもあったが、前へ行こうという気持ちの方が強かった。負けず嫌いの彼女は今では完全なバイリンガル。
藤井さんの恩師はナンテール・バレエ学校時代から習っているフランチェスカ・ズンボ。「先生は素晴らしい人です。とてもプロフェッショナルです。練習中、たまに自分に甘くなってしまう私にとって彼女の厳しさはとても有効的でした。いつも自分のベストを尽くすように教えてくれたのは先生です。」


バレエ団での生活

十七歳の時にローザンヌ・コンクールに出場し、同年、パリ・オペラ座バレエ団補欠オーディションにも応募し、三ヶ月の契約を獲得した。そしてコール・ド・バレエ入団外部コンクール(外国人、または地方の生徒が受けるもの)にも挑戦したが採用されなかった。しかし夢を諦めることができずクロード・ベッシーに手紙を書き、もう一年ナンテール学校の六年生のクラスにいる許可を頂いた。翌年、再度外部コンクールを受け、百人中三位になった。以後、三回年間契約を続けた。7回目のオーディションでとうとう正団員として採用された。その時踊ったヴァリエーションは「パキータ」の第一幕のパ・ド・トロア。

団員達のレッスンは月曜日から土曜日の朝、オペラ・ガルニエで行われる。リハーサルは午後にあり、忙しいシーズンの時は夜の七時半まで練習がある。去年の十二月など、「眠れるの森の美女」の練習と共にバレエ団昇進試験もあったので夜遅くまで頑張った藤井さん。不思議なことに一番落ち着くのは舞台に立っている時だとか。
コンクールの時期になると緊張の雰囲気が漂うオペラ座。競争心が一番強い時だという。それでも大好きなパリ・オペラ座。いつの間にか他の団員と同じように自分の「家」と呼ぶようになっていた。「競争心が激しくても、向かって行くゴールは皆同じ。疲れているとお互い励ましあう。」


夢、目標

藤井美帆さんの憧れのダンサーはシルビー・ギエム、モニック・ルディエール、オレリー・デュポン、そしてロイヤル・バレエのプリンシパル、吉田都。いつか「眠れる森の美女」のオーロラ姫やマノンを踊ることが夢。ジェローム・ロビンズの「ザ・コンサート」、「イン・ザ・ナイト」などの作品も興味深いそうだ。「ショパンの曲が魅力的」と語る。しかしやはりクラシックのレパートリーが一番好きだとか。
将来バレリーナを夢見る子にはこう語る。「いつでも自分の夢、バレエへの情熱を忘れないように。」彼女の夢はオペラ座でずっと活躍すること。
現在、「Linke,Noiret,Scozzi」に出演中。

© Miho Fujii – Dansomanie.