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entretiens
ジョゼ・マルティネス 独占インタビュー!


2014年12月6日、スペイン国立ダンスカンパニー日本公演、その最終日の終演直後に、芸術監督ジョ ゼ・マルティネス(ホセ・カルロス・マルティネス)にインタビューしました。 全ての日程を終え、劇場ホワイエのカフェスペースでは、就任したばかりの駐 日スペイン大使および神奈川県副知事ご同席のもとカクテルパーティが開かれていましたが、それを途中で抜けてのインタビュー。 快く、冷静かつ丁寧に対応 してくれるその姿は、仕事人芸術監督といった雰囲気でした。 ホッとしている様子は垣間見られましたが、頭の中ではもう次のことを考えているのか日本公演 を総括しているのか・・・。 インタビューは英語で行いましたが、CNDスタッフとの会話は当然ながらスペイン語、パリ・オペラ座時代からの仕事相手とは フランス語、日本のスタッフとは英語、といった具合で、こんがらがらない?との問いに、「別に、いつもそうだから (大丈夫)」 との回答でした。

José Martinez
José Carlos Martinez


Dansomanie日本語版

ジョゼ・マルティネス 独占インタビュー!



2014年12月6日、スペイン国立ダンスカンパニー日本公演、その最終日の終演直後に、芸術監督ジョゼ・マルティネス(ホセ・カルロス・マルティネス) にインタビューしました。 全ての日程を終え、劇場ホワイエのカフェスペースでは、就任したばかりの駐日スペイン大使および神奈川県副知事ご同席のもとカ クテルパーティが開かれていましたが、それを途中で抜けてのインタビュー。 快く、冷静かつ丁寧に対応してくれるその姿は、仕事人芸術監督といった雰囲気 でした。 ホッとしている様子は垣間見られましたが、頭の中ではもう次のことを考えているのか日本公演を総括しているのか・・・。 インタビューは英語で 行いましたが、CNDスタッフとの会話は当然ながらスペイン語、パリ・オペラ座時代からの仕事相手とはフランス語、日本のスタッフとは英語、といった具合 で、こんがらがらない?との問いに、「別に、いつもそうだから (大丈夫)」 との回答でした。


Dansomanie(以下、「D」):
日本公演ご成功おめでとうございます。 カンパニーを率いての初の来日公演でしたが、いかがでしたか? 今のお気持ちは?

José Carlos Martinez (以下、「J」) :
ありがとう。 とても良い気分です。 観客の皆さんが非常に高く評価してくださってるのもわかり、また最後の 「マイナス16」(ナハリン) では楽しんでいただくことができました。


D : 予定では 『天井桟敷の人々』 からのパ・ド・ドゥを踊ってくださることになってましたが、肩の怪我によりキャンセルになったのは残念でした。

J : ええ。 リハーサル中にちょっとしたリフトで筋肉を傷めてし まったのです。 迷いましたが、今回は芸術監督としての仕事に集中することにして、諦めました。 ダンサーには怪我がつきものですから、仕方ありません。  ただタイミングが悪かったのです。 今はだいぶ良くなっています。

(大きな怪我ではなさそうですので、ご安心を。)


D : でも、代わりにあなたの日本語を聞くことができました。 とてもお上手でした!
(ジョゼは、開演前に舞台に登場し、肩の怪我により天上桟敷を降板することを、自ら観客に ”日本語で” 話したのでした。)

J : ありがとう。 ただ紙に書いてあるのを読んだだけだけどね。


D : 観客にはあなたのお気持ちが届いたと思います。

J : どうもありがとう。


D : 今回の日本公演について、ダンサーたちはどのように言ってますか?

J : みんな楽しんでいたようですよ。 観客からの反応もよく、高く評価されていることも感じているみたいです。


D : 日本公演のプログラムはどのように決めたのですか?

J : カンパニーの今の全てをお見せできる内容にしようと考えまし た。 「Sub」(ガリーリ)は男性だけの作品で、カンパニーの男性ダンサーのレベルの高さを、続く 「堕ちた天使」(キリアン) では女性ダンサーの良さを、「ヘルマン・シュメルマン」(フォーサイス) ではポワントへの回帰、「天井桟敷の人々」 では (ネオ・) クラシック、最後の 「マイナス16」 は観客の皆さんも楽しめるように。 上手く行ったと思っています。


D : 私は 「Sub」 が特に気に入りました。 非常にパワフルな作品で、ダンサーたちが素晴らしい。 音楽はメロディがあまりなく、同じフレーズの繰り返しが多いのに対し、振付はソロのパートがあったり、全員でシンクロしたりで、踊るのは難しいのではないかと思いました。

J : そうなんです。 踊るにはかなりの集中力を要求されますので、 リハーサルは入念にたくさん行います。 時にはカウントで動いたりして、頭と体に叩き込むといった風に、けっこう皆必死だったりしますよ。 ただその集中 力がエネルギーを生み、それによって作品がパワフルなものになるのです。 


D : ええ、そのとおりですね。

J : 女性だけの 「堕ちた天使」 も良かったでしょう?


D : はい、とても良かったです。

J : 「Sub」 は力強く、「堕ちた天使」 はソフトで繊細。


D : 「マイナス16」 も素晴らしかったです。

J : ありがとう。 観客の皆さんも楽しんでいたようで、良かったです。


D : 冒頭のソロには、振付はあるのですか?

J : あれは、インプロヴィゼーションです。 でも、全体的な構造はあって、どのタイミングでどこにいて、この方向に移動して、といったように決まっています。


D : とても面白く、ダンサーも素晴らしかったのですが、キャストはシングルですか?

J : いえ、二人いますよ。 今日はハビエル・モンソンが踊りましたが、昨日はルシオ・ヴィダルでした。

*あとで別の方から伺いましたが、インプロヴィゼーションといっても踊るには振付家のオハッド・ナハリンと必ずリハーサルをして、許可をもらわないといけないそうです。


D : ほかの作品についてもキャストは二つ?

J : そうです。 群舞はほぼシングルですが、ソリストについてはダブルキャストです。 それと、「ヘルマン・シュメルマン」 は完全に二つでした。


D: 今回来日しているメンバーは、プログラムに写真付きで載っているダンサーたちだけですね。

J: そうです。 現在カンパニーには44名が在籍してますが、来日したのは28名。 プログラムの最後のページにはカンパニー全員の名前が載っていますよ。


D: 今回日本公演は大成功と言ってよいと思います。 次回も是非あってほしいです。

J: 私もまた来たいと思っています。


D: 次は例えばもっとクラシック作品を組み込んで、2つのプログラムを組むとか・・・

J: ええ、それはまさに私の希望でもあります。 一つはクラシックで構成されたプログラム、もう一つはコンテンポラリー中心のもの。 実現できたらいいですね。


D: ところで、『ドン・キホーテ』 を振り付けられるとお聞きしましたが、これはクラシック作品ですか?

J: そうです。 音楽もミンクスで、特に設定を変えたりということは ありません。 初演は来年12月の予定。 今回の日本公演には28名が来日しましたが、マドリッドに残っている16人はもうリハーサルを始めているんです よ。 クラシックの特訓中です。 アラベ~スク、アラベ~スク、ってやってます。(笑)


D : 衣装はどなたが?

J : Jean Marc Puissant です。


D: ご出演の予定は? ドン・キホーテ役とか。

J: いいえ、今のところ考えてはいません。 今は振付と演出のことで頭がいっぱい。 でも、状況によっては可能性はなくはないでしょう。


D: ご自信のカンパニーに振り付けるのは初めてですか?

J: いえ、「ソナタ」 があります。 次の来日公演で? まぁ、もしかしたらですね。


D: 『ドン・キホーテ』 を選んだのは何故でしょう。

J: スペインのカンパニーですから、これはMUST。 避けられません。


D: スペイン国立バレエ団(フラメンコ)との共同制作という話があったかと思いますが、なくなったのでしょうか。

J: ええ、確かにその話はありましたが、例えばCNDから40名、国 立バレエ団から40名出して、総勢80名が出演する作品にした場合、規模が多くなりすぎてツアーができなくなります。 それで取りやめることにしたのです が、国立バレエ団からはフラメンコ・ダンサー役として数名に参加してもらう予定です。


D: それはいいアイデアですね。

J: でしょう?


D: 常にツアーは念頭におかれているのですか。

J: はい。 私たちは国立のカンパニーですから、国内のツアーは数多 く行っています。 カンパニーはマドリッドが拠点ですが、常にどこかへ行って公演し、またマドリッドに戻ってリハーサル、また違う都市に公演に行って、ま た戻っての繰り返しです。 各都市にダンス・カンパニーがあるわけではないからで、これは国立としての義務でもあります。


D: なるほど。 それぞれの都市では何公演くらい行うのですか。

J: その時によります。 3公演だったり、1公演だったり。 様々です。


D: 日本公演は名古屋で1日、横浜で2日でした。

J: そうですね。 実は先月には中国公演があって、上海を含め4箇所で8公演行いました。 (*公式サイトによると、無錫市と上海で7公演。 上海は異なる4つの劇場で公演。)


D: それはすごい。来月にはパリ公演も予定されてますね。

J: はい。 ガリーリの 「Sub」 も上演しますが、日本公演とは違うプログラムで、エックの 「Casi Casa」 も上演します。 非常に楽しみですよ。 (*もう一つの演目は、スペイン人振付家アレハンドロ・セルード Alejandro Cerrudo の 「Extremely Close」)


D: その後の今シーズンの予定は?

J: パリ公演のあと、3月にはドイツをツアーします。 演目は 「Nippon-koku」。


D: 「Nippon-koku」 という作品は、日本人の私にとってはちょっと抵抗があります。

J: わかります。 ただこれは特異な作品です。


D: その後は?

J: 4月には新作で 『カルメン』 を上演します。 これはコンテンポラリー。 振付はヨハン・インガー Johan Inger で、美術と衣装はファッションデザイナーの David Delfin に依頼しています。 そのあとその 『カルメン』 で国内をツアー。 それからいくつか公演を行って、今シーズンはおしまい。


D: 来シーズンの予定は決まっていますか?

J: まだ確定はしてないのですが、フォーサイス、バランシンの新しい レパートリーを加えるのと、スペイン人振付家による作品をいくつか制作します。 フォーサイス作品については、今レパートリーにあるのが 「ヘルマン・シュメルマン」 のほか、「In the Middle, somewhat elevated」、「Artifact II」。 新しい作品を加えて、フォーサイス作品だけで構成する1晩もののプログラムを上演したいと考えてます。 でもまだいろいろ動いている途中で、ど うなるかはわかりません。


D: 来シーズンのプログラムはいつ頃発表になりますか?

J: 春ごろになるでしょうね。



インタビューを終えてパーティ会場へ戻ると、ダンサーたちは完全にリラックスして、ヒット曲のBGMにのって踊りながら歌いながら大いに楽しんでいまし た。 舞台で踊るのとは違った踊りだけれど、本物のダンサーが踊るとこうなるのねぇ、あれだけ踊ってもまだ踊るのね、、、等と近くにいらしたスタッフの 方々と言葉を交わしましたが、ジョゼもまた、楽しんでいるダンサーたちを一歩離れた場所から優しく見守っていました。 そんな姿も印象に残っています。



2014年12月6日(土) KAAT神奈川芸術劇場  



  


Mizuko Hirokawa
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