Bleuenn Battistoni and Andrea Sarri guest in Giselle [Tokyo]

[mizuko]

牧阿佐美バレエ団 『ジゼル』（演出・改訂振付：牧阿佐美）

2025年6月14日（土）13:30開演
東京文化会館

https://www.ambt.jp/pf-giselle2025/


ジゼル：　ブルーエン・バッティストーニ（パリ・オペラ座バレエ　エトワール）
アルブレヒト：アンドレア・サーリ（パリ・オペラ座バレエ　プルミエ・ダンスール）
ミルタ：　三宅里奈
ヒラリオン：正木龍之介

バチルド：佐藤かんな
クールラント大公：保坂アントン慶
ウィルフリート：近藤悠歩
ベルト：吉岡まな美
ペザント　パ・ド・ドゥ：米澤真弓　大川航矢

ドゥ・ウィリ：久保茉莉恵（ズルメ）　茂田絵美子（モイナ）



推しのブルーエンが客演するということで、とっても楽しみに、初日の土曜日の公演を観に行ってきました！とにかく素晴らしく、素晴らしい公演でした！

ブルーエンのジゼルはピュアで繊細でリャドロの陶器のように美しかった～ 何かを強く表現するとか、こんな風に演じたいというのが見え隠れすることは全くなく、演技は最初から最後まで流れるように自然。それなのに伝えるべきはしっかり伝わるというものでした。特に1幕、ヒラリオンに事実を突きつけられ、それをアルブレヒトが否定しないところから狂乱の場に入っていくまでの緊迫感は凄まじかったです。それと、2幕の最後、朝を告げる鐘が鳴ってお墓に戻っていくシーンは、アルブレヒトを救えたという充実感と安堵感に満ちていて、泣かされました

そんな素敵なジゼルだから、アンドレア・サーリのアルブレヒトは心底心を奪われている感じでした。しかし、貴族社会のルールには抗えず、バチルドの手にキスをするところは、心では必死に抵抗しているのがわかりました。でも、死んでしまったジゼルにすがりつくも、ジゼルママのベルトに拒絶され、最後は走り去ってしまうのでした。そう、それでいいっ！ ジゼルママ、もっと激しく拒絶しても良かったくらいだす！

演技面がしっかり組み立てられていただけではなく、踊りのほうは驚愕の素晴らしさで、もう、すごかったです。ブルーエンのつま先はすごいし美しいのに、完璧に使いこなしています。2幕なんて、最初のソロのアッサンブレはふわふわ跳んでてほんとに柔らかいし、パドブレで後ろに下がって下手に入っていくところのその細かさとスピードには会場がどよめき、拍手が起きてました。いや、ほんとに全部すごかったです。圧倒されました。

アンドレア・サーリも素晴らしくて、2幕のコーダに向けてのクレッシェンドは計算ずくですかね。コーダのアントルシャシス、何回やっただろう。16小節は確実に超えて、けっこうギリギリまでやってたんですよね。サーリはコンテンポラリーのイメージが強かったこともありそれまで気づかなかったんですけど、脚が綺麗。シスも綺麗。マチアスには敵わないと思うけど、その見事さに会場も興奮しちゃって、熱く盛り上がりましたよ。すごい～。若いっていい！そうそう、ちなみにそれまでの踊りもとても良かったですよ。ピルエットもきれいだし、アチチュードピルエットもびっくりするくらい綺麗で正確でした。いわゆる白鳥や眠りの王子タイプではないと思いますが、アルブレヒトは十分に説得力がありました。

会場の興奮は舞台上にもきっと伝わっていたに違いなく、ミルタの三宅里奈さんもどんどん気持ちが入っていってるのがわかりましたー。きっと2回目の日曜日の公演はもっと良くなっていただろうと想像します。

ジゼルが面白くなるかどうかはヒラリオンをどういう人物として表現するかも重要なポイントですが、正木龍之介さん、悪くはなかったです。ま、ちょっと分別のある普通の青年が見えちゃってるなぁという印象は否めませんでしたが。ただ、私がベストに選ぶヒラリオンはヤン・ブリダールの粗野で明らかに思慮にも分別にも欠けるダサダサで、という以上に私絶対無理！って感じの突っ込みどころ満載の（でもだからこそ対比が明確になって物語も面白くなる）ヒラリオンなので、比較はしません～。

ペザントの大川航矢さん、さすがのロシア仕込み。力いっぱいの跳躍で大きく踊るので、観ていて清々しいです。ここの演出のペザントのPDDは唐突に始まるので、物語における位置づけがわからなかったのですが、単なるお楽しみであってもそれはそれとして楽しめました。

演出や振付はいろいろありますが、ちょっと独自色を出したかったのか、ミルタの振付とか変に難しくしてあるところとかあったんですよねー。そんなのを見ながら、いろいろ付け加えずオーソドックスなほうがむしろ効果的ってことあるんだななんて思ったり・・・。重要なコールドのアラベスクで交差するところとかはそのままでしたけどね。

そのコール・ド・バレエについて、2幕でところどころ一斉にアラベスクになるところがあったんですが、見事に一気に上がってびしっと止まっていたのはあっぱれ！でした！


このところなんか触手が動かなかったりして、バレエ公演に足を運ぶことが少なくなっていたのですが、久しぶりに素晴らしい舞台を見られて嬉しかったし、オペラ座のダンサーってすごいって思えて、とっても嬉しかったです！ これだけ舞台を牽引できるってすごいです！ やっぱりこれからもブルーエン推しで行きます～。呼んでくれてありがとう。来てくれてありがとう～。


そうそう、Instagramに上げましたが、ブルーエン、会場に飾るポスターにひらがなで「ありがとう」って書いてくれてたんです。見本を見ながら書く様子の動画もどこかに出てましたよ！ あぁ、どうしよう、ブルーエン、人気が出てしまう。。。


牧のインスタにはブルーエン×アンドレアのリハーサル動画もたくさん！ ありがとう～
https://www.instagram.com/asamimakiballettokyo/