Le Chant de la Terre - Neumeier [ONP Garnier 24/02-12/03/15

[mizuko]

[本家より]

レビューをご紹介しておきますね。　どちらもあまり良くは書いてないみたいです。

Financial Times
"Unfortunately it is not a decisive conclusion. On opening night, Le Chant de la terre faltered under the weight of the occasion and perhaps the memory of MacMillan, and didn’t find a way into Mahler’s final masterpiece"

Figaro
"La pièce peut être soignée et d'une belle facture, Neumeier n'apporte rien de neuf, si bien qu'on pourrait croire qu'il se caricature lui-même. En outre, sa relation à la musique, d'ordinaire savante, tombe ici dans l'ornière du pléonasme [...]. Les danseurs n'y peuvent rien: ce Chant de la Terre a des pieds de plomb."


こちらは少しポジティヴなレビューみたいです。
http://www.artistikrezo.com/2015022619120/theatre/danse/l-le-chant-de-la-terre-r-un-air-de-chine-au-ballet-de-lopera-de-paris.html


ノイマイヤーということで、ドイツでも批評が出ています。

http://www.deutschlandfunk.de/john-neumeiers-lied-von-der-erde-reichlich-bravos-fuer.691.de.html?dram:article_id=312676
http://www.die-deutsche-buehne.de/Kritiken/Tanz/John+Neumeier+Das+Lied+von+der+Erde/Ewige+Wiederkehr
http://www.tanznetz.de/blog/26882/symbolisch-karg
http://www.welt.de/print/die_welt/hamburg/article137839046/Paris-feiert-John-Neumeier.html



本家にもあんまり反応が入ってないんですよね～。　う～ん。。。

[mizuko]

Dance Cube に初演のニュースだけ出ています。　批評はなし。　でも写真がありますので、どうぞ～。

http://www.chacott-jp.com/magazine/interview-report/report/post-96.html

[futaba]

mizukoさん、皆さま、こんにちは。
何もかもほったらかして、初日から5日間観てきました。

批評、良く書いていないものが多いそうですね。
第一印象も大切でしょうけど、この作品、一回観ただけて批評を書くのも難しいだろうなと思います。

まず、かなりの気力、体力、集中力が必要です。
１時間25分、休憩なし。
第3交響曲の「１時間55分、休憩なし」よりは短いですが、テーマが深く重い上、曲も（従ってムーヴメントも）スローパートが多いので、こちらのほうがタフ。
元気がないと退屈します。

次に歌詞（ドイツ語）の理解。
ダンサーの動きにしろ、ライティングや中空の太陽（これが怪しげで美しい）の変化にしろ、歌詞を深く理解していればいる程、興味深く観られるはずです。
逐語訳みたいな振付もありますし。

さらには人生経験。
この曲を書いた時のマーラーのように、病弱だったり、愛する者の死に直面したことがある方と、そうでない方では、胸の締めつけられ方が違うでしょうね。



私、初日はパリにに着いたばかりで、開演ぎりぎりセーフ。とても疲れていて、この「深」「重」なバレエを正直、少し持て余してしまいました。
核心部分の、プロローグ、第1、第2、第6楽章は宿題てんこ盛り。ついて行くのがやっと。
オアシス的な第3、第4、第5楽章だけ楽しんだようなもの。
ズスペルギーとレヴィヨンの動き出しのポーズが可愛いとか、ダニエルのたおやかさにホッと一息ついたり、カールの女ったらしめカッコイイぞとか、酔っ払いシャイエをロボットに踊らせてみたいとか。


二日目はホテルで体力回復に努め、歌詞を復習しまして、あらら、第6楽章で泣いちゃった。
いや実際、この曲をバレエにするとしたら、これ以上のものは望めないでしょうね。
マチュー、カール、レティシア、適材適所ってこのことだわ、ソロもPDDも素晴らしい…。
「生も暗し、死も暗し」。孤独を恐れ死を恐れ、でも永遠の安らぎには憧れて、現世を憂いながら未練もたっぷり、揺れ動くマチュー。
マチューの無二の友で、マチューとともに魂の迷宮を彷徨い歩くカール。そしてより死に急ごうとするカール。第6楽章、告別の場面はもう苦しくて苦しくて…。

で、レティシア！　
彼女は何者（の魂）？
カールとはまったく接点がなく、でもマチューにとっては（このバレエにとっても）カールと同じくらい重要な存在。
神秘的な暗さ。謎めいた正確なステップ。
初っ端、意味ありげなソロで観ている者を精神世界に引きずり込むのも彼女、ラストでマチューと踊るのも彼女。
カールとマチューは、ほとんどいつもシンクロして踊るのだけど、レティシアとマチューはシンクロせずに、なんというか、まぁ、普通のPDDです。
ところが第6楽章でカールが「あちら側」に行ってしまう前後から少しづつシンクロしはじめ、カールとマチューの動きをなぞったりするのよ～。
そしてラストではマチューと完全にシンクロしています。
このラスト・シーン、二人のシルエットが歌詞どおり「永遠に」踊り続け、大変美しい…。

レティシア、何者なんでしょうね？
マチューがマーラーの代弁者で、レティシアはアルマ？ とか妄想にふけりつつ、カールに聞いてみました。


私　　 「レティシアは何の役ですか？」
カール「スピリチュアルな存在なんだ。精神的なもので、詩的なものだよ」
私　　 「誰の魂でしょう？」
カール「分からない」
私　　 「あなたとマチューは（配役表で）2 hommes となってますね」
カール「僕らもスピリチュアルだよ」
私　　 「レティシアと同じように？」
カール「うん。ストーリーは無いんだ。3人いて1人死ぬ。それが全て」
私　　 「ノルウェン・ダニエルもスピリチュアルなんでしょうか？」
カール「そうだよ。みんなスピリチュアル。何者なのかはノイマイヤーしか知らないんだ」


まるで禅問答だわ。分かったような分からんような…。
ノイマイヤー氏にレクチャーしていただきたいわん。



第2キャストですが、それだけしか見なかったら「いいじゃん！」って思えたんだろうけど、第1キャストと比べると、細かなニュアンスや感情表現が…。
ドロテは持って生まれた明るさが、どう隠してもチラついてしまう～。
マニュネとシャイエは、体育会系的迫力が目立って、はかなさが足りないなぁ～。１＋１＝２。第1キャストほど膨らみません。

そんな中、sae eun park は東洋的な容姿、薄い身体に鍛え上げられた筋力をそなえ、ノルウェン・ダニエルとはまた別種の華として冴えていました。
ただ、彼女たちの主たる見せ場は第4楽章、‘花を摘む少女たちのうち一番美しい少女’ の役です。
主役に名を連ねてはいるものの、他の3人からは一歩引いた存在なのであります。



音楽は、低音の生々しさが（私の好みより）控えめ。管が時々不安定。
全体にコンパクトな印象でした。
独唱は、今回テノールとバリトンの男性二人です。
私はテノールとアルトで歌われるほうが好きなのですが、マチューとカール、2人の男性が主旋律だったので、独唱も男性で、まぁ、成功していたのかな。
ただ、最後の「永遠に」のリフレイン、この歌声は、踊っているのがレティシア（とマチュー）だし、大変透明感のある場面なので、ここだけアルトって、ダメ？



重いの暗いの分からんのと書いてきましたが、観終わってみると不思議な安息感につつまれていました。
普段、忙しさの中、見ないようにしている、けれど本当はとても大切なものを振り返らせてくれる時間でありました。
感謝。



〈p.s.〉
mizukoさん、男性のジーンズ、ユニクロなんですって？　ウルトラストレッチだと思いますよ～。無抵抗伸び伸び～、でしたよ。
でもって、Tシャツの無数の小穴が痛々しいの。
来シーズン、ノイマイヤー作品がないのは寂しいですね～。

[mizuko]

futaba さん！　深い考察を伴う貴重な感想をどうもありがとうございます

なるほど、この楽曲とマーラーへの理解度によって見えるものが全く違ってきそうですね。　もちろん何度も観ることでわかってくることも多い。　けれど、"難解な体" をなしてない （と想像します） から何度も観ないとわからないという気になることも少ないのかも。　ただ、批評家たちは初日をぱっと観てすぐに文章にしなくてはいけないから、どうしたって第一印象だけで書くことになってしまいますよね～。　ノイマイヤーの描く精神世界が深遠で高度すぎるってことですなぁ。

カールとの質疑応答についても共有してくださってありがとう！

で、やはりジーンズはウルトラストレッチですか

[mizuko]

グスタフ・マーラー 『大地の歌』 → Wiki

アマチュアオーケストラ新交響楽団 HP の曲目解説も面白いかも。
http://www.shinkyo.com/concert/p217-3.html

[futaba]

mizukoさん、

新交響楽団 HP の曲目解説、とても分かりやすいですね。
ありがとうございます。

《"難解な体" をなしてない （と想像します） から何度も観ないとわからないという気になることも少ないのかも》
そのとおりです～。


ところで初日、フロリアン・マニュネが急遽ファビアン・レヴィヨンに交代したのでした。
感想文、訂正しておきました。どうもすみません。
理由はよく分からなかったのですが、翌25日からは元気に出演していましたよ。

[mizuko]

公演は終了しましたが、最終的なキャストがアップされてますので貼り付けますね。　フロリアン・マニュネですが、最後のほうは完全に降板していて、マチュー・ガニオがドロテ・ジルベールと踊っていたようです。

[mizuko]

ダンスマガジン最新号 (2015年5月号） の巻頭特集はノイマイヤーの 『大地の歌』。　やっと読んだところですが、ジェラール・マノニさんの評でもう少し作品を知ることができます。　いつもながら写真も充実。

さらに、 Ballet Factory には渡辺真弓さんによるレビューが載っています。　こちらも必読。　同時期にシャンゼリゼ劇場で上演されていた 『ソラリス』 や、シャイヨ劇場での 『egg』（野田秀樹） についても触れられていますよ！
http://www.ballet-factory.com/watanabe/new/015.html

[mizuko]

先週金曜日に更新された Dance Cube に三光洋氏によるレビューが載っています。

http://www.chacott-jp.com/magazine/world-report/from-paris/paris1504a.html