Le Lac des Cygnes, Opéra de Paris 29/11/2010-05/01/2011

[mizuko]

marikaさん、ダンソマニ日本語版へようこそ！
白鳥の感想をどうもありがとうございます

今オペラ座はコールドがとてもいい状態にあるみたいですね。
11/29から1ヶ月以上の長丁場の最後まで、コールドみんながしっかり踊るというのはそんなに簡単に出来ることではないと思います。　モチベーションがずっと高く保たれてのでしょうね。　パトリス・バールさん （かな？） の指導の賜物ですねー。

マチアス

[mizuko]

Altamusica にロパートキナの日のレビューが載っていますね。　リンクをご紹介しておきま～す。

> Altamusica - Lac des cygnes (3) : Une grande prima ballerina (by Gérard MANNONI, 17/12/2010)

[futaba]

…え～、今頃なんなんですが、mizukoさん、皆さま、今年もよろしくお願いします。
12月中に書きたかった感想の続きも、とうとう今になってしまいました。
LIVE感ゼロでごめんなさい。
mizukoさん、マチアス絡みでなくてごめんなさ～い。

整理しておくと、私が見たのは、
13日　Emilie Cozette×Karl Paquette＋Stéphane Phavorin
15日　Agnès Letestu×José Martinez＋Karl Paquette
16日　Laetitia Pujol×Mathieu Ganio＋Benjamin Pech

まずはがんばったEmilie Cozetteのことから。
彼女何回踊ったんでしょう？　…20回中、9回ですか？　うわっ！

Cozette のオデットに強く感じたのは「忍耐」です。
彼女は「私は本当は人間なの。私に愛を！ 早く人間に戻たいっ！」とは訴えません。
「今の境遇は耐えがたいものですが、真実愛してくれる男性が現れるまで、何年でも耐え忍びましょう」という気高くストイックなスタンス。
体温低そう。あれっ、鳥類の体温は哺乳類より高かったはず…？
Laetitia Pujol （顔立ちは似ているが） のような縦横無尽な感情表現がないので、一見、王子への情愛が薄いように思える、のだけれど、
注意して見ていると動きの端々に一途な愛が込められているからそれを見逃したら大変。
無理に例えを探せば、源氏物語の葵上的と言えましょうか…。
ツボにはまれば大変興味深く、でも「時差ボケなのよ。のんびり楽しみたいわん」という向きには、ちょっと疲れるオデットではありました。
オディールのほうは、持ち前のクール・ビューティで自由奔放に攻めますからね、でれ～っと見てても大丈夫。面白かったですよ。

Cozetteのオデットに対しては包容力があり、感情表現の豊かなジークフリートが必要でしょう。
marikaさんがお感じになった1月3日,5日の不作は、そんなことも原因の一つかもしれませんね。mizukoさんのご指摘通り、Stéphane Bullionは好不調の波が大きいですし・・・。

では、Karl Paquetteのジークフリートは？
初役の時、Karlはとことんピュアで、真っ白で、背中に天使の羽根でも付けたような王子を演じていたのですが、
今回、彼の込み入った表現を見ていると、何かプラス・アルファ、新しいアイデンティティを付け加えようとしているように思えました。
例えば、王子は嫁取りの義務も、国王の重責も承知の上で、今現在のモラトリアムを満喫しようとしているのでは、というような仮説。
だって皆と踊ったり、先生にいろいろ教えてもらうのって、楽しいんだも～ん。
しかしその生活に終止符を打たれてしまい、現実逃避願望はMAXに。そんな気持ちが溢れ出た1幕のソロは素晴らしく、客席がアンニュイの湖になってしまうのかと思いました。（笑）
さて、Cozetteの高潔なオデットが、彼に人生に本腰を入れる決意をさせます。
「彼女を守らなければ…！」
王子は騎士道の鏡のような（パートナー・シップの鏡のような）頼もしい男に急成長。この過程をつぶさに描いていたのもKarlに特徴的かと。
ラストでは私の見た他の王子たちが「愛しい人の喪失」を嘆き悲しんでいたのに対し、Karlはそれを守り得なかった自己嫌悪に重心を置いた気がします。

Stéphane Phavorin のロットバルトは、王子とのバトルでやや脆弱な面もありましたけど、すさんだ雰囲気がKarlの美丈夫と程良いコントラスト。1幕のパ・ド・ドゥなど雰囲気がありました。
この日の舞台は、前述した16日のエンタメ的成功とはまた違った、優れた文学作品のような味わいでした。


15日のKarlのロットバルトにも触れておきましょう。
DVDをご覧になった方も多いと思いますので、それを基準にしますと、
化粧が薄い茶系に変わり、それに合わせるように、よりミステリアスで鋭いウォルフガング、より強靭でスケールの大きなロットバルトに変化していました。
DVD比17％くらいかな～。かっこ良かったですよ～！

でもね、4幕に王子とロットバルトがオデットを奪い合うシーンがありましょう?　
そこで王子からオデットを手荒く奪い取るはずのKarlが、Agnèsの代役に立ったLudmila をかばうように励ますように優しく扱っていて、あれは ‘ロットバルト’ ではなく、‘Karl Paquette’ でしたね。
この場面の眼目からはズレてしまった訳ですが、バスティーユの観客には暖かく受け入れられたようです。幕が降りた後の拍手には、Agnèsへのエールも含め、そういう暖かさが込められていたように思いました。
私も胸に熱いものが…。
　

16日のMathieu王子のことも書かなくては。
Mathieu、リニューアルされた衣装が良く似合って、まぁ、美しいこと！
2幕のソロ、ラインが映えてましたね～。ため息が出るほど綺麗でしたよ。
終始、甘く優しく八方美人な王子で、ラストは仰向けになってスィートに眉間に皺を寄せ、「あ～、行っちゃったよ～！」。
…な～に、この王子ならすぐまた新しいロマンスが芽生えるに違いない、というのは褒めているのか分からない感想ですね。
この超甘な王子像は、Laetitia と Benjamin の饒舌ゆえではなかったかと思うのです。
もし、Cozetteのような寡黙な相手役なら、Mathieuはまた違った王子を演じたでしょうね。
Karlにしてもしかり。二人とも役作りに余念がないもの。
そうそう、1幕で、ウォルフガング初舞台のBenjamin Pech が荒っぽく動いて、時々音符 ♪ を余らせちゃうんですが、Mathieuが上手に埋め合わせてました。
今回はAgnès降板の件といい、オペラ座のチームワークを感じることが多かったです…。


脇を固めて下さった方々から。
Charline Giezendanner が小気味のいいダンスでとても良かったです。
え?　サブリミナル効果？　
かもしれない…。‘小さな白鳥’を毎日踊ってましたし、14日は1幕のパ・ド・トロワとハンガリー、16日は王子の8人の友人たちも。
光ってるなと思って目を向けると、たいてい彼女だったという具合。

13日のハンガリー。まだ青～い Fabien Revillion を Nolwenn Daniel が懸命に引っ張っていて、無性に面白かったです～。

スペインの Yann Saiz （13日）と Christophe Duquenne （15日）。キレてて余裕があって決めのポーズは美しく、格上の2人でした。
こんなに好調なSaiz を見るのは久しぶりだったので、ロットバルトはどんなかしらんと思っていたら、Beraさん、mizukoさん、本当に素晴らしかったんですね! 教えて下さってありがとうございます。

それから15日。ナポリの Adrien Bodet がまだ荒削りですが魅力的でした。相手役 Eléonore Guerineau は爽やかで難のない初役でしたよ。


こんなとこでしょうか～。また何か思い出すかもしれません…。
今回は体調や何やかやで無事に観に行けるかどうか危うかったんですが、こうして感想まで書くことができ、幸せです。
長文を読んでくださって、ありがとうございました。

[mizuko]

futabaさん、再び白鳥の感想をシェアしてくださってどうもありがとうございます 　いつでも大歓迎ですよ～。
本年もどうぞよろしくお願いしま～す。

[mizuko]

ダンスマガジン最新号（2011年3月号） に、ジェラール・マノニ氏によるレビューの要約が載ってますね。　原文は Altamusica　に4回に渡って掲載されたものです。　パリエロの日の分がばっさりカットされてますけど。　最後の分 （プジョル×エマンとコゼット×ビュヨン） だけまだリンクを貼ってなかったので、ここに貼り付けま～す。

> Lac des cygnes (4) : Cygnes triomphants (05/01/2011)


Dance Cube （2011/01/11号） のリンクも。　レポートの内容は、白鳥シリーズ前半2キャストのみ。
http://www.chacott-jp.com/magazine/world-report/from-paris/paris1101a.html

[mizuko]

Culturekiosque に Particia Boccadoro によるレビューがあります。　連日の主演となったエミリー・コゼットの心境も語られてます。

http://www.culturekiosque.com/dance/reviews/pob_sacre_cygne_apollon590.html